Rosy Lovers【2】

「もーっ、信っじらんないっ!」
 怒りの咆哮が、人気の無い通路に響く。
「なんらっていうの! あの態度!」
「ええ、そうね。……ほら、しっかり歩きなさい」
「らいたいっ! 田舎の成金貴族の分際れ! あらひに声掛けようらなんて! 身の程知らずもいいところらわよぉ!」
「……アンナ、あなた余所でそんなこと言ってないでしょうね」
「ゆうわけないれしょお、あらひがそんな下手打つとれも思ってるの!? おかあさんはぁ!」
「はいはい、思ってないったら……もう、仕方がないわね」
 威勢のいい言葉とは裏腹に頼りなくふらつく幼い体躯は、手をつないで歩くにも限界のようだった。アンナを抱き上げたデボラを見上げて、隣のイースは気が気ではないようだ。
「あの、おかあさん……あのね、アンナも悪気があったわけじゃ」
「わかってるわよ。別に怒ってないわ」
「じゃあそのしかめっ面をどうにかしてやってくれ。子供達が怖がってるだろ」
 困ったように笑うリュカが、不安げなイースの頭を撫でてやっている。宵闇の廊下、静かに照らす月明かりが4人の影をつくる。

 祝いの宴も佳境に差し掛かった頃。飲み物の給仕はすでにセルフサービスと化しており、各々好き勝手に酒やらジュースやらを飲んで楽しんでいた。様々なボトルが所狭しと並ぶなか、アンナは特に疑念も抱かず自分のグラスに赤色の液体を注ぎ、くい、と仰いだ。
 最初に気が付いたのはフローラだった。蒸気した頬、潤んだ瞳、そして呂律の回らない言葉。まさか、と思いじっくり観察していると、双子に声を掛けてきた貴族に食って掛かりそうな険悪な雰囲気。慌ててフローラが貴族に掴みかかりかけたアンナを引き剥がしたところ、アンナはすでにぐでんぐでんに酔っぱらっていたのだ。
 悪酔いしないような上等なワインしか並んでいなかったはずだが、先日10の誕生日を迎えたばかりのアンナにとっては酒の善し悪しなど関係ない。将来、彼女には酒の飲み方を教える必要がありそうだ。
「下戸なのはアンタ似かしらね」
 アンナの背中をポンポンとさすりながらデボラがぼやく。
「げこ……?」
「お酒に弱い人のことだよ、イース。つーか、俺そんな絡み酒じゃないだろ」
「ま、たしかにそこまで絡みはしないけど……いたた、こらアンナ、髪引っ張らないの」
「ふふふ」
 抱きかかえたアンナが、赤子のようにすがりついてくる。
「おかーさぁん……」
「なあに、甘えん坊ね。いつもの気高いアンネリータ王女様はどうしたのよ」
「いーじゃん、ケチぃ。メッキーばっかずるい、あたしも一緒にいたいもん」
 そういえば、旅の道中いつもメッキーは肩に留まってくつろいでいたような。まさかそれで遠慮してたんじゃないでしょうね、まったく子供らしくないんだから。
 リュカはというと、酔っぱらってたがが外れた様に甘えているアンナを微笑ましそうに眺めている。
「何だかんだ言って、立派に母親できてるじゃないか」
 かつてルドマン氏の豪華客船でたびたび船酔いするフローラの面倒を見ていたデボラにとって、この程度は苦にならない。妹でさえそうなのだ、実の子供であればなおさらかわいいものである。
「そういうあんたは、全っ然父親が板についてないみたいね」
「ぬぐぐ……そんな、ハッキリ言わなくったって」
「だってそうでしょう。となりでアンナのこと羨ましそうに見てるイースに気付きもしないなんて、配慮が足りないわ」
「えっ」
 突然名前を呼ばれたイースが戸惑っている。気が付かないとでも思ったのかしら、その辺りはまだまだお子さまね。
「残念だけど抱っこは具合の悪い方が優先よ。してほしければ手の空いてるパパにお願いするといいわ」
「なんだ、してほしいなら言えばいいのに」
「えっ!? いや、そんなっ、いいよ別に僕はっ」
「ちょうど手持ち無沙汰だったんだ。ほらおいで」
「……じ、じゃあ、ちょっとだけ」
 イースが恥ずかしそうにおずおずと手を伸ばし、リュカは慣れない手つきで肩に抱き上げる。日頃は勇敢な息子とスマートな夫であるだけに、なかなか滑稽だ。

 赤子の頃と比べて何倍も重たくなった子供達を抱えながら家族の寝室にたどり着き、デボラが大きなベッドにアンナを寝かせて布団をかけてやる。となりでリュカがイースをベッドの上に下ろす。ちら、とそちらに目をやると、リュカが人差し指をそっと立てた。どうやらイースは連れてくる途中で眠ってしまったらしい。宴の最中たくさんの貴族や親族としゃべる機会があって疲れてしまったのだろう。
「寝かしておいてあげるか」
「そうね。ベルトだけ外してあげて」
「はいよ」
 起こさないよう静かに寝支度を整えてやるリュカを横目に、デボラは大きな窓から外を見上げる。
「……いい月夜ね」
「ああ、晴れてよかった」
 リュカは寝息を立てるイースに優しく布団をかける。なんとなく、いつもより声音が優しい気がする。
 夜空にぽっかりと浮かんだ満月を眺めながら思い出すのは、サラボナでの結婚前夜。考えてみれば、旅をしたり子供が出来たり石になったりしているうちに、あれから10年以上経っているのだ。時の流れとは恐ろしいものである。
「……なあ、暑くないか」
 リュカが自分の顔を手で扇ぐ。
「そう? 酔いでも回ってきたんじゃないの」
 蝋燭しか明かりがない暗い部屋では、リュカの顔が火照っているのかどうかよくわからない。
「……少しテラスで風に当たりたい。付き合ってくれないか」
「あら、会場に戻らなくていいわけ?」
「大丈夫だろ、俺達が抜け出したことだってほとんど気付かれてないだろうし」
 言いながらリュカはガラス戸を開ける。促されて足を踏み入れたテラスは、月明かりに淡く照らされて、心地のいい風が吹いていた。

 

 

 寝室では聞こえなかったが、外に出ると階下の城下町から宴の喧騒がほのかに聞こえてくる。平和を祝うこの宴は、夜通し続きそうな勢いだ。
 春先とはいえ、夜風はまだ少し冷たい。いつもは衛兵や使用人達が歩き回っている賑やかな王宮の庭園も、人気がないとなんとなく寂しげだ。でも、いつかのような不気味な静けさとは違う。少しだけ宴に疲れた体に心地いい、穏やかな静けさである。
 リュカの酔いざましに付き合うこと数分。テラスの手すりに頬杖をついて夜空の月を見上げながら、デボラは先程突然浮かび上がってきた不安についてぼんやり考えていた。
(どうしてここにいるのか、なんて。今さら何を)
 寝室に寝かせてきたイースとアンナ、母親はまぎれもなく自分自身。かわいいあの子達の世話を放棄する気はさらさらない。
 それに、成り行きとはいえ、今の肩書きはグランバニア王妃だ。リュカほどではないにしろ、式典や視察といった公務は山積みだろう。その責任だって、放棄するつもりはさらさらない。
 大体、世界を平和に導いた一員であるデボラは、その平和を維持するためにやるべきこと、やりたいことが山積みだ。光の教団の奴隷として集められた人達の援助、魔物達から被害を受けた町や村に対する復興支援、凶暴化の収まった魔物達を管理する天空城との相談や連携、その他もろもろ。
 忙しいリュカの手を借りなくても自分だけで出来ることが、少しくらいあるだろうか。少しでも助けになれるのなら、などと、我ながら殊勝な考えをするようになったものだと思う。
(これだけスラスラここにいる理由を並べられるっていうのに、いつまでモヤモヤ不安がってるんだか)
 こちらの悩みも知らないで、隣でリュカが黙って風に当たっている。宴の明かりを見下ろす瞳は、初めて会ったあの時と変わらず曇りのない漆黒だ。
 元はといえば、この男がすべての発端なのよねぇ。横目でリュカの様子をちらと眺めながら、デボラは再び物思いにふける。
 イースもアンナもリュカとの間に出来た子供なわけだし、グランバニア王妃の肩書きだってリュカの妻だから得られた称号だ。世界平和の片棒担がされたのだって、天空の盾目当てで結婚を申し込んできたこの男の計画に乗ったからで……。
(……そこまでこの男に依存してるつもり、なかったんだけど)
 モヤモヤの正体は、虚しさ、だろうか。すべてのきっかけだったリュカとの約束が果たされてしまったことで、心にぽっかりと大きな穴が空いてしまったような。
 孤児院の捨て子から一国の王妃にまで上り詰めておきながら、虚しいだなんて、まったく贅沢な話だこと。自嘲気味なため息が、春先の静かな空気に混ざって消える。ええい、しょうもないことに引っ掛かってんじゃないわよ、あたしらしくもない。

 テラスに出て10分近く経つ。少しは酔いも落ち着いた頃かとリュカを方を見て、はたと気付く。
「ねえリュカ」
「……何だ?」
「あんた、本当は酒なんて一滴も飲んでないんじゃないの」
「…………」
 そもそも酒をあまり飲まない男だから忘れていた。酔っぱらった時のリュカは普段よりも饒舌になるのだ。10分間も黙っているなんておかしい。そういえば宴の前、演説の後にたくさん挨拶の機会がありそうだから失態を演じないためにも飲まないでおこう、とか何とか言っていたような気がする。
「……バレたか」
 ばつがわるそうにリュカが頬を掻く。図星だったらしい。
 だとしたら、テラスなんかに出たがった理由は何なのかしら。疲れて休みたいだけなら、わざわざ寒い屋外じゃなくても寝室のソファで十分でしょうに。デボラは訝しげに首を傾げる。
 薄手のドレスで夜風に当たったせいか、体が冷えてきた気がする。今はまだいいが、あまり長居すると風邪を引きそうだ。
「気が済んだなら戻りましょ、まだ宴の途中じゃない」
「ダメだ」
「どうしてよ」
「こうでもしないと」
 何気なく欄干にかけていた左手に、ふいにリュカの指が絡む。
「……二人きりになれないだろ」
 まっすぐ見つめられて心臓が跳ねる。
「ずっと……言ってなかったことが、あって」
 絡んだ指が熱を帯びている。暑がってたのはホントだったのかしら、なんて雑念は、いつになく真剣な瞳の前にかき消される。
 まるでいつかの契約ようだ。満月の夜に、二人きり。思い出されるのは、策略渦巻くプロポーズ。違うのは、リュカの声が少しだけ震えていることくらいだろうか。
 あの日の契約はすでに果たされている。天空の盾は勇者の手に渡り、世界を巡る旅は終わりを告げた。この期に及んでこの腹黒小魚は、一体何を言おうというのか……

「好きだ」

「……は?」
 シンプルすぎる3文字に、デボラは思わず絶句する。
「……ああ、わかっちゃいたんだ、そういう顔されることくらい」
 驚きすぎて自分がどんな顔をしているかわからないが、リュカの中では予想通りだったようで。
「そりゃそうだよ、今更だもんな……いつか改めて、ちゃんと言おうとは思ってたんだが……その、なんというか、タイミングがだな」
 いつもは冷静沈着なリュカがしどろもどろになっている。困ったような、泣き出しそうなリュカの表情なんて初めて見た。触れてる手の熱さの感じからして、もしかして顔真っ赤だったりするのかしら。月明かりの下じゃよくわからない。
「成り行きでも打算でも、ここまでずっと支えてくれたこと、本当に感謝してるんだ」
 黒曜石の瞳が、まっすぐにデボラだけを見つめている。
「この先、あんたのいない人生なんて考えられない。これからも、その……妻として、そばにいてほしい」
 すがるように、絡んだ指に力がこもる。
「……せめて、何か反応くれよ」
 リュカがいよいよ本当に泣きそうで、思わずデボラはくすりと笑ってしまう。
 今更、どころか、今まさに、必要だったのだ。
 本当に不思議な男、どうしてあたしの不安に気が付きもしないのに、あたしでさえわかってなかった欲しいものをポンと寄越すのかしら。
 パズルのピースがはまるかのように、心にぽっかりと空いていた穴にリュカの言葉が染み渡っていく。
 結局のところ、責任だのやるべきことだの、そんな御託どうだってよかったのだ。デボラはリュカの腕を引っ張って顔を寄せ、
「うわっ!?」
 驚くその唇に強引に唇を重ねる。頬に手を添え、そっと目を閉じ、体を寄せる。まるで普通の恋人のような口付け。
 デボラがゆっくり離れて目を開けると、呆気に取られた表情のリュカがぽかんとこちらを見ていた。まったくなんて情けない顔かしら、ああそういえば、あたしからするのは初めてだったっけ。
「……あの日、あたしを選んでくれてありがとう」
 リュカはあたしが好きだからそばに置いておきたい。単純明快、なんてわかりやすい。
 そうよね。“どうして”なんて、ばかばかしい。
「あたしも大好きよ、リュカ」
 リュカが好きだから、あたしはここにいるのだ。

「…………」
「ちょっと、反応してあげたんだから、何かしら返事なさいよ」
「……はぁー……」
 固まっていたリュカが、重苦しいため息と共にその場にへなへなとしゃがみこむ。
「……した……」
「は?」
 繋いでいた手がひっぱられて一緒に腰を屈めると、リュカのか細い声が耳元に届く。
「緊張した……」
 おそらくより一層赤面しているであろう顔を手で覆うリュカに、デボラは再び吹き出す。
「ずるい、そんなふうに思ってたなんて、聞いてない……」
「そりゃ言ってないもの」
 いつまでへたれてんのよ、とリュカの手を引っ張りあげて立ち上がらせると、リュカはそのまま手すりに力なくしなだれかかった。世界を救った国王陛下が、たかだかキスひとつでこんなに骨抜きになっている。魔王から放たれた攻撃にだって屈しなかったこの男が。
「ていうか、今後言うつもりもないし」
「え、なんで」
 ガバッと顔を上げてこちらに向き直るリュカ。いつものクールさを取り繕う余裕はもうないらしい。
「……一回言えば十分でしょ、あんな恥ずかしいの」
 夜でよかった、と心からそう思う。月明かりでリュカの顔色が見えないということは、デボラの顔色だってリュカから見えていないのだ。日頃のひねくれたやり取りに慣れているデボラは、珍しくストレートに想いを告げたことで耳まで真っ赤になっている。ああもう、素直になるってなんて面倒なのかしら。
「まあいいさ、あんたが言わないなら俺が言えばいいだけだ」
「……どういう意味よ?」
「別に。ただのひとりごとだよ」
 諦め気味にため息をついたリュカだったが、別に不服なわけではなさそうだ。
「そろそろ会場に戻るか。さすがに寒くなってきた」
「……そう、ね」
 さっき自分だって同じことを提案したはずなのに、なんとなく歯切れの悪い返事になってしまう。この嬉しいような気恥ずかしいような静かな空気、さっさと切り上げてしまいたいような、もう少しだけ浸っていたいような。
 名残惜しくて、繋いだ手はそのままにしてある。おかげで肌寒さは大して気にならなくなっていた。だが、寒くないからといって、まだ二人でいたい、なんて素直な言葉を畳み掛けるだけの精神力は、デボラには残っていない。抗議の代わりに、少しだけ強めに手を握り返す。
 まあ別に、これからだって時間はあるんだし。今ほんのちょっと寂しいくらい、なんてことないわ。
「デボラ」
 何よ、と返事をする前に抱き寄せられ、頬に手を添えられる。
「……戻る前に、もう一回」
 ああ、ああ、もう。こちとら、なんてことない、って自分を納得させたばっかりだっていうのに。そんなこと知りもしないで、簡単にあたしの願いを叶えてしまうのだから、本当に恐ろしい男。
 リュカの優しい瞳に囚われて、もう逃げられない。敵わないのだ、きっと一生。
 観念してデボラは目を閉じる。遠くの宴の喧騒にかき消されそうなほど小さな「愛してる」を聞きながら。

 こうして二人は、10年以上の時を経て、ようやくただの恋人同士になったのだった。

END

あとがき

全体

 そんなに女王感のない主デボ小説、無事完結いたしましたー!!
 途中激務で文章書くのから離れてた時期が数年単位で発生してしまい、更新がピタッと止まってしまって本当に申し訳なかったです……!!気長に気長に待っていてくださった方、本当にありがとうございました!!そして書いてる最中Twitterに錯乱した呟きばらまいてTL荒してすみませんでした……!!
 デカいことやり終えて何のしがらみもなくなった後、原点に立ち返って二人の関係を見直した時の話を最後に書いておきたかったのでやっと書き上げられて本当に良かったです。

 Scarlet HoneyとCrimson Darlingがそれぞれ9話ずつだったので、このRosy Loversの2話を含めてキリよく全20話にしたいなーと構想していたのですが、上手い具合に収まって一安心してます。
 書きたかったシーン自体はもっといっぱいあって、例えば以下の4通り。

・デボラ様とヘンリーのリュカ談義
・デボラ様とルドマン夫妻の親子会話
・デボラ様とアンディの思い出話
・デボラ様とフローラの思い出話

 これら全て、書こう書こうと努力してもデボラ様が口下手なのか一切筆が進まなくなりまして……。
 あまりの書けなさに「このシリーズは主デボが主軸なのだからそれ以外の要素はエピローグではいらんのじゃー!!」と開き直ることにして全カットと相成りました。
 デボラ様ったらマジで話したい人としか話さないんだから!!!わがまま女王め!!!そんなところも好き!!!(ぇ
 まあ結果的に20話に収められたからよかったんだ、と思うことにしますけども。

 あと、今までのお話のタイトルの全てに赤を意味する単語が付いているのですが、それぞれ赤色以外にも意味がありまして。

・Scarlet=高貴な、罪深い
・Crimson=血生臭い
・Rosy=成功が約束された

 紅の君、緋色の貴方、薔薇色の恋人達、と内心各タイトルを日本語訳をしているのですが、Scarletはデボラ様、Crimsonはリュカ、Rosyは二人のことをイメージして付けてました。という裏話。

主デボ話

 最初の密約は二人きりで決めたので、最後も二人きりでやらせてあげたかったのです。
 国民の前で盛大に再プロポーズ、とか、お天道様の元で堂々と愛の告白、というのはどう頑張ってもイメージに合わなかったので、ひっそりした感じのラストをずっと想像しながら書いておりました。
 ていうか、あんだけ仲良くイチャイチャとしていたくせに実はちゃんと告白してなかったっていうね。好き合ってる実績があったとしても、やっぱり何だかんだケジメはつけておきたい。そういうの大事。

 デボラ様の葛藤というか、一人でモヤモヤと悩んでいるシーンを書くのが正直一番筆が進みました。
 ここの悩み方書きながら「本家本元のデボラ様はこんなことで悩むだろうか……」と何度か自分でも首を傾げたりしたのですが、二次創作だし原作乖離は今更なのでもう気にしないことにします。うちのデボラ様はこうなのだ、ということでご了承ください。

 告白のさせ方が結構自分の中で二転三転していて、書いては消し書いては消し、を4回ぐらい繰り返してます。
 今までキチンと言葉で好意を伝えてこなかったツケが回ってきたというか、なんというか。
 根底に「表向きは夫婦だけど、裏向きの実際は愛のない契約関係ですよ(※ただし裏から好意は透けている)」という深層心理があったからこそずっとドライな友達夫婦としてやってきた感があるので、それがなくなってただの両想い状態になったことにより、反動とギャップで書いてて恥ずかしいのなんの。
 終盤シーンに至っては書きながら糖度の高さに自家中毒起こして吐きそうでした。甘々描写はメンタルにくる。良い教訓でございました。

仲間話

 いくら「主デボが主軸」とはいえ、旅に参加した仲間達のことには絶対触れておきたくてですね。

 ピピン君とデボラ様は仲良くなってくれそうだなーと思いながら庭での会話を書いてました。
 多分彼はリュカにもデボラ様にもフランクに接してくれる子なので、エリート街道まっしぐらだけどそれを鼻にかけない庶民っぷりで、そのうち王様の近衛兵になってくれるといいなぁと勝手に思っております。
 リュカとかデボラ様に可愛がられててほしい。双子にも引き続き慕われててほしい。

 魔王が滅びたから魔物達も全員消え去ってしまう、なんてことになったら悲しすぎるので、ここの世界では「魔王の出現によって凶暴化させられてたけど、魔王がいなくなったら凶暴性がなくなった」という設定になってます。
 そんなわけで仲間モンスター達は消え去ったりせずに一旦天空城勤務という感じにしましたが、多分ちょくちょくグランバニアに戻ってくると思います。
 人間との共存のための知恵を拝借に来たり、リュカ達の様子見に来てくれたり、ただただ甘えに帰ってきたり。
 お勤めが終わったらグランバニアに住みながら気楽に遊んでてほしいなぁ。

 双子ごめんな、全然存在感出してやれなくて……!!完全に私の実力不足だわ……!!
 主デボメインとはいえ出番少なすぎた、それこそもっと書きたいとこいっぱいあったのに。またいずれ双子話も書けたらいいな。

まとめ

 毎度おなじみのセリフであれですが、お待たせして申し訳ありませんでしたーーー!!!
 おそるおそる更新履歴を見たところ、どうやらScarlet Honeyの第1話をHPに掲載したのが2009年らしく……今2019年だから、10年越しの完結……ひええ……遅筆って言っても限度がある……!!

 ラストまで展開決めてあるのにこれもう一生終わらないんじゃないかと不安だったのですが、書き上げられてほんとによかった。それだけでなんか満足です。

 私の自己満足な二次創作に付き合ってここまで読んでくださった奇特な皆様、本当にありがとうございました。
 本編は終わりですが、またそのうち短編とか思いついたらぽろぽろ書くと思います。
 その時はどうぞよしなに。