DQ5 Scarlet Honey TOP

本編

【結婚イベント】
  • Scarlet Honey【1】

    『若い娘にキャーキャー騒がれるのも今のうちよ。そろそろ結婚も考えないとね』旅の途中で立ち寄った宿で、サラボナ帰りの年老いたシスターがそんなことを言っていた。確かにもう20代半ばだ。世間一般の男なら、嫁を貰って幸せな家庭を築くことを夢見てもお…

  • Scarlet Honey【2】

     リュカ達が火山へと旅立ってから2日後。サラボナの街は、大火傷で帰ってきた幼馴染のアンディの話題でもちきりだった。「アンディ、アンディ! お願いよ、目を覚まして!」 必死に声をかける妹のフローラの隣で、デボラは濡れ布巾をアンディの患部に当て…

  • Scarlet Honey【3】

     そんなこんなで30分ほど経っただろうか。 ピエールとブラウンがゲレゲレを支え、ゲレゲレの鼻にデボラが裸足で立つ、という曲芸並みの荒業をこなして、デボラは桃へと手を伸ばす。「どうですか、デボラ……様?」「とれそうかー?」「……あとちょっと……

  • Scarlet Honey【4】

    「おかえりなさいませ、デボラ様」「ええ、帰ったわ」 若いメイドが迎え入れる。リュカ様もどうぞ、と言うので言われるがままついていく。ふかふかの赤いじゅうたんに沈み込む靴の感覚に、リュカは未だに慣れていない。 隣を歩くデボラになんとなく違和感を…

  • Scarlet Honey【5】

     まだあの小魚男がフローラの夫になるとは決まっていないのに、ルドマンは結婚式の段取りを決めに外に出ていった。 嬉しそうなのは結構だけど、それって娘が結婚する時の父親の感情としてはどうなのよ。ずいぶんリュカを気に入ったらしい浮かれ気味の両親を…

  • Scarlet Honey【6】

     皿いっぱいに盛られた新鮮なウサギの肉を美味そうに頬張るゲレゲレを眺めながら、リュカは朝から上機嫌だった。「珍しいなー。無駄遣いの嫌いなリュカが、好きなもん食わせてくれるなんて」「昨日の僕達のアイデアのおかげですね。素敵な御褒美です」 市場…

  • Scarlet Honey【7】

    「どうしてあんたと結婚したか教えてあげる。あんたがあたしに尽くしてくれそうな気がしたからよ」 カジノ船での豪華な結婚式を終えて、ルーラで魔力を消費しすぎたリュカがサラボナで倒れた一日後。「だから、これからあたしに尽くしてもらうためにも、あん…

  • Scarlet Honey【8】

     ポートセルミ港にあった船は、ルドマン一家が普段使う大型客船とは違い乗組員の少ない中型船だった。 今までは船影におびえて近付いてこなかった魔物たちが襲いかかってくるので、乗組員たちと一緒にデボラたちも戦闘に参加することになっている。「……も…

  • Scarlet Honey【9】

    「もうすぐ、ね……」 船の舳先が波を切るのを眺めながら、ぼんやりとデボラが呟いた。「そうだな。あと3時間もあれば着くんじゃないか?」「めきー」 一週間の船旅も終わりに近づき、ようやく見えてきた砂漠の大陸を見据えてリュカは答える。旅の間に随分…

 
【結婚後の旅路】
  • Crimson Darling【1】

     最初に目に入ってきたのは、知らない天井だった。 辺りはぼんやりと薄暗い。夕方と呼ぶには辺りが静かすぎるのできっと早朝だ。手を動かすと麻の感触が伝わってくる。おそらく布団を掛けられているのだろう。「ん、う……?」 起き上がろうとするが体に力…

  • Crimson Darling【2】

     ゴツン。 そういえば初めてまともに会話をした時も、拳骨から始まったんだったな。デボラの頭にそれなりに強めの鉄拳制裁を加え、リュカはそんなことを考える。「ったー……!!」「当然の報いだ。何考えてんだアンタは」 痛みに頭を抱えるデボラを眺めな…

  • Crimson Darling【3】

     リュカの国王即位に加えて、2か月近くの早産ではあったがデボラが無事に、しかも双子の出産を終えたことで、グランバニアは国全体が祝賀ムードに染まっていた。 中央広場では大規模な宴会が開かれ、誰もかれもがその幸せに酔いしれた。酒には弱いため普段…

  • Crimson Darling【4】

     塔に備え付けられた数少ない窓から光が差し込む。あの唐突な襲撃から半日過ぎたのか、と朦朧とした頭でかすかに思考する。 誰もいない薄暗い牢屋のような部屋のなか、デボラは拘束されたままぐったりと横たわっていた。(一体何がどうなってんのよ……) …

  • Crimson Darling【5】

     鎖に繋がれているデボラがもどかしそうにこちらを見ている。必死に手を動かしているのは、多分鎖をほどこうと必死なんだろう。 リュカは何度目かの硬い蹄の横蹴りをかわして体制を立て直す。打撃は何発か打ちこんだつもりだが手ごたえが全くないのは何故だ…

  • Crimson Darling【6】

     一緒にお母さんを探しに行こうよ! 見つかると信じてやまない双子達の希望を胸に、国の政治はサンチョやオジロン殿に任せて、リュカ一行はデボラを探す旅を続けていた。イースは勇者としての持ち前の剣の腕と稲妻を操る術で戦闘で大活躍し、アンナは類稀な…

  • Crimson Darling【7】

    「おや、どこかでお会いしたような……お客様ですかな?」 フリルのエプロンを身に纏い包丁を持ったまま首を傾げるサンチョは、この頃から一切顔が変わっていない。サンチョこそ一体何者なんだ、と聞くのは城に帰ってからにしよう、とリュカはこっそり決意す…

  • Crimson Darling【8】

     幽霊の王様に頼まれてお化け退治をしたり、妖精の女王様に頼まれて春を取り戻したり、等と思い返せばファンタジーな冒険を繰り広げてきたリュカだったが、さすがに竜の背に乗って大空に舞うことになるとは思っていなかった。「すごいすごい!世界が真っ青で…

  • Crimson Darling【9】

     全身が凍りついたかのように一切身動きの取れない状態で旦那と引き離され、薄気味悪いオークションで売り捌かれ、挙句怪しい宗教の神殿に連れ込まれた時は全く生きた心地がしなかった。 ……そもそも今の状態で“生きている“なんて言えたもんじゃないわね…

【旅の終わり】
  • Rosy Lovers【1】

     雨上がりの昼下がり。グランバニアの廊下にコツ、コツ、と深紅のヒールが音を立てる。「ふわぁ……」 あわただしくすれ違った女中を尻目に、退屈そうに欠伸をひとつ。城内は王の帰還と世界平和を祝う明日の祝賀パーティーの準備であわただしく、使用人たち…

  • Rosy Lovers【2】

    「もーっ、信っじらんないっ!」 怒りの咆哮が、人気の無い通路に響く。「なんらっていうの! あの態度!」「ええ、そうね。……ほら、しっかり歩きなさい」「らいたいっ! 田舎の成金貴族の分際れ! あらひに声掛けようらなんて! 身の程知らずもいいと…

番外編

  • Lemony Quartet

    嫁たちの葛藤とか旦那のもやもやとか。Scarlet Honey 6から8の間くらいのお話です。

  • Cogwheel Waltz

    ラストダンスに関する壱屋的考察。Crimson Darlingの直前くらいのお話です。

  • Sunset Abashment

    テルパドール直後くらい、船上での甘めな話です。

  • White Savior

    結婚直後、ルラフェン~ポートセルミ間の旅の途中のお話です。

  • Orange Question

    デボラの石化解除後、黒髪双子とフローラのお話です。